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    温暖化と気候変動 今月もまた、問題児・トランプ大統領の発言を取り上げます。 この冬、アメリカやヨーロッパで発生した大寒波についてトランプ大統領は「温暖化というが、この寒波は何だ」と発言し、温暖化なんてどこかに行ってしまった、と声高に繰り返していました。 この疑問は、誰もが持つのだと思うのでちょっと説明をします。地球が異常に暖かくなると、気候の循環が大きく崩れてしまいます。これを気候変動と言います。すると、何億年前から連綿として続いてきた一定の気候循環が乱れてしまう。 地球温暖化は気候変動の原因であり、気候変動はその結果として発生するのです。 気候変動は、大雨や干ばつを引き起こし、台風・ハリケーンを巨大化させます。また、大雪や異常寒波が発生するようにもなります。 ですので「温暖化による異常気象が発生しつつある」ということが問題なのですが、一般には、温暖化だけが問題だ、というようにとらえられてしまいがちです。 トランプ大統領の疑問は、温暖化と気候変動が区別できていないことから生まれる疑問なのです。 今冬の大雪、寒波は気候変動の結果であって、夏には温暖化が進んで暑くなる可能性もある、と考えていただければ、トランプ大統領の疑問は氷解すると思います。 AI技術の進展 この正月には、もう一つアメリカから衝撃的な発言が伝わってきました。NVIDIA(エヌビディア)のCEO、ジェンスン・ファン氏が「チャットGPTからフィジカルAIへの転換」と発言し、大きな反響を呼んでいます。 ファン氏の発言を要約しますと、これまでAIはモニターの中での活躍だったが、これからは現実の生活に浸透する、ということです。 AIの活用はロボットを通じて人手不足を補う技術の展開に向かい始めています。無人農業や運輸での無人トラック輸送、介護を手伝うAIロボットなどが実用化に向けて着々と準備が進んでいます。 こうした状況を見据えてファン氏は「チャットGPTのようにコンピューターの中での作業から現実の世界で活躍するAIが次々に出てくる」と予測するのです。 これはかなりの産業革命です。前回紹介したように海運や陸上輸送、畜産、発電などでも様々な革命的技術の進展が期待されます。こうした技術発展は温暖化や気候変動を防ぐためにも役に立ちます。 ゴルフ場のAI利用 AIの活用がコンピューターを飛び出して実際の現場で動き出す。この技術を活用して、ゴルフ場でのキャディ業務やカート・コントロールなどをAI化できないでしょうか。キャディさんが足りなくて困っているという声も聞こえます。 18ホールの状況をすべてAIに覚えさせて、カートに乗っているときに説明させるのです。チャットGPTのように、コース状況などを声で質問すれば答えてくれる。今どこにいて、次のショットは刻むのか、勝負するか、などを自分の飛距離を話せば答えてくれる。グリーンでの状況も教えてくれる。 超ベテランのキャディさんほどでなくても一般の楽しみゴルフでキャディさんにいろいろ聞く内容程度ならAIが十分機能を発揮してくれるでしょう。 カートに乗っている間に、ゲーム展開が遅れているとか天候異変などの通告もできます。マナーを伝えることもできます。すべてのカートの位置が分かれば無駄な動きをコントロールできるでしょう。 キャディさんにクラブを運ばせたり、バンカーの後始末をさせたりしないで、自分で処理するのが筋ではないでしょうか。ボールが見つからなければ5分以上探さないなどのルール内で、自分たちで探せばいい。 そのほか、若いゴルファーの取り込みや女性、家族層の拡大など、フィジカルAIを活用する分野がかなりあると思います。 次世代への課題 SDGsは2015年9月に国連総会で採択されました。2030年をめどに、貧困や教育、ジェンダー平等、気候変動、環境保護、平和と公正など、地球規模の課題を解決するための目標です。 環境問題と途上国での課題を合体したようなものですが、地球はひとつ、人類間の差別をなくす、といった世界認識を目指して作られたものです。 しかしながら、現実は厳しく、目標ははるか遠くに設定されたままです。気候変動防止だけ見ても「産業革命前に比べて地球の平均気温の上昇を1・5度以下とする」目標も実行が難しくなっています。 でもこのままでは、孫たちの時代には深刻な事態を迎える可能性があります。その認識だけは、誰もが持っていなければいけません。 貧困対策と気候変動についての主な目標 1 貧困をなくそう ①2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 ②2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。 13 気候変動に具体的な対策を ①気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 ②気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 ③気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年08月20日
    忍び寄る温暖化に 2026年の春が始まりました。おかげさまで千葉の自宅はかなり温かく、1月10日には梅が咲き始めました。例年より2週間ぐらい早い。 中旬に房総半島の南をドライブした時には、車の中が暑くてクーラーをかける状況でした。クーラーといっても22度ぐらいでしたが、この暑さにはいささか驚きました。 和田町の寒桜は2、3週間も早く満開に近い状態でした。日本海側が吹雪に襲われているのに関東では異常といえるほどの温かさが続いています。いずれ気温が落ち、また上がるという三寒四温を繰り返して春になっていくのでしょうが、おかしな温かさが続いています。 18日は82歳の誕生日で、近くのゴルフ場に行きました。この暖かさはありがたい。しかし手放しで喜べない気持ちです。多くの人は温暖化が進んでいる、と感じているのではないでしょうか。 1月10日には自宅の梅が咲きはじめ、例年より2週間以上早いのでびっくりでした。 トランプ大統領大暴れ ところで、新年早々アメリカのトランプ大統領の暴走ともいえる政策展開に世界が引きずり回されています。 ベネズエラに軍事侵攻してマドゥロ大統領を拘束し、イランにも手を出す意向を示しています。そのほかコロンビアへの軍事介入、グリーンランドの領有宣言などやりたい放題です。 この原稿が読者の皆様の目に触れる頃にはまた、事態が変わっているかもしれませんが、いずれにしても新たな帝国主義が急に出現したような気がして落ち着きません。 一説には、ベネズエラの問題は圧政に苦しむ国民を開放するためだとかベネズエラの石油資源の確保といわれています。また、イランを標的にしているのも石油確保であり、ベネズエラとイランの石油を支配して中国への石油供給を絶つためだ、とも言われています。中国、ロシア、北朝鮮など日本を取り巻く国々が独裁に近い軍事国家であることを念頭に置けばアメリカの行動は当然で、日本人の甘っちょろい考えは現実の世界情勢に通用しない、などの意見も見られますが、事態はそう単純なものではなく、21世紀のエネルギー事情が大きく関わっています。 次世代エネルギー トランプ大統領は「地球温暖化は嘘だ」と言っています。温暖化の危機を全く感じていないようです。だから石油をどんどん使え、と言っているのですが、実は今、世界の目は石油や石炭などの化石燃料から二酸化炭素などを出さないエネルギーの研究に向かっています。 世界のエネルギーはまだ化石燃料に大きく依存しています。しかし、地球温暖化防止のため、世界全体のため、21世紀は二酸化炭素をはじめ温室効果を推進する物質を排出しないようなエネルギーの開発に向かわなければならないのは明白です。 例えば、e-メタノールやアンモニアの活用は二酸化炭素を原料にすることに繋がり、将来の主要エネルギー候補だともいわれています。現実に商船三井はe-メタノールにつながるメタン輸送船を運航していますし、日本郵船はアンモニア活用に繋がるメタノール二元燃料船舶を採用しています。 太陽エネルギーの研究は大きく進化し、実用化しています。日本では大規模開発を伴う太陽パネルの建設に問題が出ていますが、ペレブスカイトのような曲がるパネルが開発され、各家庭の屋根やビルの側面、自動車などにも適用できる新型パネルも用意できています。 ペレブスカイトは薄く曲がる太陽発電です。ビルや住宅、自動車などどこにでも張り付け利用できる画期的な技術です。 また、NTTのIWON(アイオン)のように、半導体の電気使用量を100分の1にすることを目的にして、実践的な研究が進んでいるのです。 石油に代表される化石燃料を主とするエネルギー事情は今世紀中に大きく変化し、自然エネルギーの活用やエネルギーの効率化を目指す方向に移行していくでしょう。石油などの化石燃料は規制される可能性があります。 時代の変化を読み取る力 2025年5月、日本郵船グループのNYKバルク・プロジェクト(株)が定期傭船するメタノール二元燃料ばら積み船「Green Future」が竣工した。将来のアンモニア利用につながる。(日本郵船ホームページより) トランプ大統領の言動は、温暖化という世界の危機に対する責任放棄です。また、20世紀型のエネルギー開発から抜け出られない古い考え方とも言えます。 トランプ大統領が重要視しているベネズエラの石油は品質が良くなく生成に経費が掛かるようです。10年かけて運用できるようになるころには価値が落ちる可能性があります。 温暖化の影響がすでに各地で出始めていることを考えると、温暖化はさらに進み、温暖化防止のための新エネルギーの開発が必須であり、そのための技術発展が大きく進むとみられます。すなわち、トランプ大統領が推し進めている政策は役に立たなくなる可能性があります。石油はまだまだあるから大丈夫という次元ではなく、あっても使えない、という状況になりそうです。 一方、温暖化防止についてはアメリカの力が必要です。温暖化分析の多くのデータはアメリカ軍の協力によるものです。資金でもアメリカの協力は欠かせません。 トランプ大統領だけでなく世界の指導者には、これから50年先の世界を構想する力を持ってほしい。新エネルギーの開発はSDGsの大きな課題のひとつなのです。 SDGs7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに 商船三井の世界初の大型エタン輸送船「ETHANE CRYSTAL」(商船三井ホームページより) 2030年まで安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。そのためには ①世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる ②世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる ③再生可能エネルギー、エネルギー効率化、クリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進する ④各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国の人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給するためのインフラ拡大と技術向上を行う―などの政策を推進する必要がある。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年07月26日
    ヒマラヤの高峰を背に 12月初旬、ネパールでゴルフをする機会がありました。場所は、首都カトマンズのロイヤル・ネパール・ゴルフクラブです。9ホールのコースですが、案外面白かった。 思い立って急にゴルフ場に行ったため、すでに満員ということであきらめかけたころ、一人でプレーする方が「一緒に回ろう」と言ってくださり、無事プレーができました。彼は弁護士だそうで、遠来の客に非常に親切でした。 土曜日で外国人、ということで特別価格だったようですが、5000円でした。クラブのレンタル代が1500円。そして、キャディのチップが1000円の計7500円。 ロイヤル・ネパール・ゴルフクラブのレストラン。 レンタルクラブはしかし、年代物の古さでした。どのクラブも私にはやや重い。 大丈夫かなとドライバーを振り切ると案外うまく飛び、弁護士殿より飛んで拍手でした。続いてのクラブは全てキャディさんが選定し、言われる通りに打ちました。するとどうでしょう、ダフらず、芯に当たるではないですか。このキャディさん、プロ選手のアルバイトでした。彼がボールをセットしてくれてグリーンでも球筋を丁寧に教えてくれる。お陰様で気持ちよくプレーができ、成績も日本より段違いに良かった。 特別に腕が上がったわけでもないのでしょうが、キャディさんが私の年齢を考えて一つ二つ上のクラブを選定してくれたのが良かったのだと思います。 伝統の香り コースでは随所に猿が遊ぶ。 コースには猿が多く出没し、驚きましたが、ボールを持っていくなどの悪さはしないようです。プレーヤーものんびりしたもので、スコアをつけている方はほとんどいないようでした。 「試合以外は楽しめばいいんですよ。ゆっくりいきましょう」 同行の弁護士殿は悠揚迫らぬ態度です。私もすっかりリラックスし、力まずに振れたのでしょうか。おかげで何かがつかめたのかもしれず、日本でのプレーが楽しみです。 プレーを終えてクラブハウスに入ると、とてもシックな造りに気分が良くなりました。このクラブは1917年(大正7年)の設立で伝統があります。国王や外国の首脳がプレーをする写真が多く飾られ、歴史の重みが感じられます。さすがにイギリス仕込みの風格がある。 同行の弁護士さん(左)と私 しかしながら、ギアが古すぎる。皆さん10年も20年も前のギアを使っている。ショップでも古いものしか売ってない。 私はふと自宅にある余分なセットを送りたくなりました。ゴルフ関係の皆さん、日本の物置などに眠っているクラブセットを集めてネパールに送ったらどうでしょう。 ネパールではゴルフはまだお金持ちの遊びです。この楽しい遊びをもっと普及させてあげたい。いや、お手伝いをしたいと強く思いました。 古いクラブの展示もありました。 生物多様性の危機 背後のビルが見える都市型コース ネパールはまた、生物多様性に富む国です。南部に行けばゾウやサイなどがいます。北にはユキヒョウがいます。植物も動物もとても多様です。しかしこの多様性が危機に瀕しています。 まず、森林の破壊です。理由は、農地拡大や放牧、薪の過剰使用などです。背景には人口増加と貧困があります。さらには密猟。トラ、サイヒョウなどは、皮や牙などが高く売れるからです。 野生生物の農地への侵入、気候変動による氷河の融解、植物や動物への影響、外来種の侵入など多種多様の形で生態系は狂ってきています。 これに対し、ネパール政府は新しく「Community Forestry」という制度を作りました。「森林を国家が独占管理するのではなく、村人に返す」というような制度です。 地元の人にお金が回る仕組みだったので、うまく回っています。村人は薪や飼料だけでなく、木材販売や観光で収入が増え、違法伐採を村人自身が止めるようになりました。 ネパールの森林面積は緩やかに回復し、緑が戻ってきました。衛星画像でも確認されています。 この制度は結果的に、女性メンバーの活用を通じて社会の公正性・ジェンダー平等につながり、さらに村の収入も増え、学校建設、飲料水の整備、健康サービス、奨学金などに使われています。 ネパールでもようやく改善の動きが出始めています。こちらも応援したくなります。 恩返し カトマンズから見えるヒマラヤ。スモッグがひどく、山々がかすんでいる。 ネパールはほんの一例です。同じ境遇にある国はたくさんあります。そして多くの国々には豊かな生態系があると同時に破壊が広がり、環境全般に悪影響が出ています。まさにSDGsの課題がすべて当てはまります。日本政府の支援はもちろん必要ですが、市民レベルでの交流も大きな力になります。また、支援することを通して、私たちもより多くのことを学ぶことができます。 私自身はネパールに日本語学校を作り、日本への留学を推進する活動を始める予定です。今回はその準備のための旅でした。若い頃ヒマラヤ登山でたくさんお世話になった国へのささやかな恩返しのつもりです。 途上国への支援 SDGsの項目を改めて掲げます。 1・貧困をなくそう 2・飢餓をゼロに 3・すべての人に健康と福祉を 4・質の高い教育をみんなに 5・ジェンダー平等を実現しよう 6・安全な水とトイレを世界中に 7・エネルギーをみんなに そしてクリーンに 8・働きがいも経済成長も 9・産業と技術革新の基盤をつくる 10・人や国の不平等をなくそう 11・住み続けられるまちづくりを 12・つくる責任 つかう責任 13・気候変動に具体的な対策を 14・海の豊かさを守ろう 15・陸の豊かさも守ろう 16・平和と公正をすべての人に 17・パートナーシップで目標を達成しよう <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年03月14日
    COP30ベレン会議 今年11月10日からブラジルのベレンでCOP30(国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議)が開催されました。COPというのは、条約に参加した「締約国の会議」という意味です。その30回目の会議です。COPはコップと発音し、COP30は「コップサーティ」と言っています。 気候変動枠組み条約とは難しそうな名称ですが、温暖化防止のための条約です。温暖化は、多くの問題を発生させているので条約名は気候変動という言葉になっています。 「枠組み」となっているのは、温暖化を防止するためには様々な課題が複雑に絡み合っていて、いきなり細かいところまでは決められないので大枠だけでも決めていこうよ、という意味で「枠組み」条約となっています。 1992年、同じブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球環境サミットがこの条約の出発点でした。 その後、ドイツのボンで第1回の会議すなわちCOP1が開催されました。そしてCOP3が京都で開かれ京都議定書がまとまり、条約が実質的に動きだしました。 この時も各国の思惑が錯綜し、会議は揉めて行き詰まったのですが、最終的には、アメリカのクリントン大統領と日本の橋本龍太郎首相との電話会談で決着したのです。 以来、計30回に及ぶ会議が開かれており、徐々にではありますが会議の内容は進展してきました。 しかし今回は、世界第2位の温暖化ガス排出国のアメリカが参加しません。トランプ大統領が「温暖化は陰謀だ」としてパリ協定を脱退してしまったからです。 アメリカはこれまでこの条約を強力に推し進めてきました。しかも、温暖化に関する重要な基礎データを長年提供し続け、会議で決まったことへの費用も多く出していました。 地球全体を覆う温暖化 地球が温暖化しているというのは世界全体が影響を受けます。この問題は一つの国や地域の課題ではなく世界全体の問題なのです。 しかし今は国家単位の秩序で世界が動いていますので、国によっては自分のことだけで精一杯、他人のことなど構っていられない、というところもあります。また、温室効果ガスを長い間排出し続けたのは先進国であって大多数の途上国には責任がない、先進国がまず責任を取る形で温暖化に取り組むべきだ、と主張します。そして温暖化対策について、先進国からの支援を訴えます。 とどのつまりは先進国が途上国にいくら援助するか、という課題なのです。 先進国は支援が本当に環境対策に使われているのか疑問視し、途上国の要求を額面通り受け入れられないという思惑もあり、交渉は難航しがちです。 そこに、クリントン、橋本会談のような世界のリーダー国の姿勢の見せ所があるのですが、トランプ大統領はその反対です。 世界をリードする 先ほども申しましたが、ことは世界全体に被害が及ぶ話です。自国の利益追求だけでは到底前進できる話ではないのです。 ここに、政治姿勢が問われることになります。トランプ氏にはその視点が欠けている。全世界が直面する危機よりも自国の経済的利益を求める。これでは到底世界をリードする政治家とは言えないでしょう。 困るのはトランプ氏の考えが世界の経済界に悪影響を及ぼしていることです。大企業の社長たちの間には、めんどくさい環境から離れて自由に金儲けをしたい、と思う人達がトランプ氏の影響を受け始めていることです。 世界の経済界はこれまで環境対策を重視するとともにESG(環境・社会・企業統治)を尊重する動きになっていましたが、これを放棄する企業が増えてきています。 これから先の地球環境は? 世界の科学者が何年もかかって調査を続けてきた結果、温暖化は確実に進展していることが明らかになっています。温暖化は人間が作り出しています。地球は確実に変化し始めています。そう遠からず気候が異常に変化し、人間がとても住みにくくなり、私たちの子どもや孫の世代はどうなるのか分かりません。 そんな大事な状況であるのに、無視している人が多すぎます。はるか遠い先のことどうでもいいじゃん、何とかなるよ、と思っている人も多いのです。 堅い言葉で言うと環境教育が必要です。特に大人の認識を改めてもらうのが大事です。 ゴルフは自然の変化を感じやすいスポーツです。基本的に屋外ですし、暑さ、寒さ、風、雨などを考慮する必要があります。夏の異常熱波など気候変動を身近に感じられるスポーツであり、紳士淑女、すなわち礼儀礼節やフェアプレー、他の人や自然を尊重する人のスポーツです。 ゴルファーこそ率先して、世界の気候安定のために動いていただきたい。小さなことでいいのです。孫や子のために何かひとつ、行動を起こしたいですね。 京都議定書とパリ協定 京都議定書は、1997年に開かれたCOP3で採択されました。先進国が温室効果ガスの排出量を削減することを約束しました。この議定書では先進国は2012年まで排出量を削減する目標を設定することが決まり、温暖化対策の具体的な取り組みがスタートしました。 2015年のCOP21ではパリ協定ができました。京都議定書をバージョンアップして、気候変動対策として初めて法的拘束力のある国際条約となりました。世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えることが決まり、締約国は、2030年までに温室効果ガス排出量を削減する目標を設定し、具体的な行動を取ることが求められています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年02月08日
    干し柿状態 私は64歳の時にゴルフを始めました。以来、17年間、ほとんど上達していません。初めの1年間ぐらいで100を切ったのですが、以後は92を最高に、良くて90台、100を超えることもしばしばある状態がずっと続いています。 ゲレンデでのスキーは60歳から始めて64歳で2級を取得し、74歳で1級バッジをいただきました。時間はかかったものの着実に技術は進歩してきました。しかしゴルフは全く上達しない。 考えてみますとスキーは先生に習っていました。これに対し、ゴルフは先輩にちょっと教えていただいた以外は自己流です。だから干し柿(ヘタが固まっている状況)になっているようです。 80歳を過ぎて自己流がいけないことに気が付き、今年9月からスクールに通い始めました。初日に、もうびっくりでした。画像に映し出された自分のスイングがかなりガタガタです。第一、腰が全く動かないで手だけで打っています。自分では腰を捻転しているつもりだったのですが正面を向いたままでした。 先生にこれを指導され、いわゆるビジネスゾーンの繰り返し。2回目にはそれがかなり良くできるようになり、自宅でスイングの練習に励みました。次にハーフで打ってみるよう言われ、左肩を正面に向け、打ちおろすときに右腕をわき腹に付けて打つよう促され、それを日課に振り続けています。 おかげさまで、アイアンのハーフまではかなりの頻度で芯に当たるようになりました。身体が右にスエーすることがなくなり球筋はまっすぐになりました。 本を読んでも分からない 今まで何をしていたのだと悔やんでいます。単行本や雑誌を何冊も買い、見様見真似で振り回していたのですが、これが「干し柿」の素となっていました。 習い始めてから、少しずつ成果が表れていくのが楽しみになっています。練習をしながら、ふと思いつくことがありました。ゴルフを始めてすぐに倉本昌弘さんの『90を切るゴルフ上達問答集』(2009年、日経ビジネス文庫)を買い、何度も読み返していました。たくさん本を買い、読みましたが、倉本さんの本が一番わかりやすく自分に合っていたのです。線を引きながら読み返していたのですが、習うようになって初めて倉本さんが書いていることが分かるようになり、驚いています。 これまではただ字を追って、分かった気になっていただけでした。スクールで基本を教えていただいた後に、改めて読み直すと、書いてあることがすべて腑に落ちるようになりました。 高齢化の余波 この歳になって教育の本質を再認識しています。教えることと習うことの基本です。人はいくつになっても習うことが大事です。 若いころは人の忠告や教えを柔軟に受け入れることができます。しかしある程度の年齢になると、自分の考えが固まり、人の声を受け入れにくくなり、そのため人は何も忠告してくれなくなります。そして裸の王様状態になっていきます。 私が危惧するのは、ゴルフ人口の一番多い年代が60歳から70歳であることです。「レジャー白書2024」によると、コース参加者530万人のうち、70代が約133万人で最も多く、60代、50代がそれぞれ約95万人、約101万人と続いています。 女性や若者が少ないということもゴルフ界の課題ですが、それとは別に、年代が高い層が多いこと自体も心配です。一般的に年をとるとともに考えが固まってくる、忠告を素直に聞けない、という傾向が強くなるということです。私自身の今回の経験が良い例です。 社会的地位が高く、経済的にもゆとりがある方々が多い年代です。知らず知らずのうちにゴルフへの考え方も固定化されてきている危険性が高くなるのではないでしょうか。 ゴルフの楽しさを引き継ごう ベテランからは、初心者や若者がコースに出るとマナー違反やルール無視が目立つ、という批判があります。でもそれは、ルールやマナーをよく知らないからです。 ゴルフの各種団体は、例えば初心者への割引をする代わりにマナー講習会を義務付けたり、スロープレーへの注意を促すポスターなどをクラブハウスの様々な場所に張り付けるなどの努力をすべきでしょう。 いずれにしても年配のゴルファーが多いということはクラブにとっても大変大きな財産でもあるのです。彼らの経験、楽しみ方へのうんちくなどが若い世代などに受けつながれていくことは日本のゴルフ文化がより豊かになるでしょう。 そしてクラブの重鎮には、初心者、家族連れ、小、中学生、若者、女性などを迎え入れる具体的な活動やアイディアを受け入れてほしいのです。そうなれば、クラブも伝統を活かしながら時代に合った運営に向かって舵を切ることになるでしょう。 そういう状況になることがSDGsの最終的な目標でもあるのです。 誰一人取り残さないSDGs 平成27年9月27日、当時の安倍晋三総理大臣は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミットに出席、ステートメントを発表しました。その中で安倍総理は次の3点をを強調しています。まさに地球人全員で取り組む課題です。 ①このユニバーサルなアジェダの実施には、旧来の「南北」の二分法を乗り越え、すべての国、民間企業、市民社会など、あらゆるステークホルダーが役割を果たす、新たなグローバルパートナーシップが不可欠です。 ②女性も、障害者も、若者も参加する取組が必要です。 ③誰一人取り残されないよう、脆弱な人々の保護と能力強化を重視します。特に保健、教育、防災、気候変動などが重要です。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年01月30日
    全英女子オープン 今年の全英女子オープンでは、山下美夢有選手が優勝しました。2019年の渋野日向子選手以来の快挙でした。しかしなぜか渋野選手が勝った時ほど日本中が沸くことはなかったような気がします。 いろいろ考えてみました。渋野選手の優勝は、1977年の全米女子プロゴルフ選手権を制した樋口久子選手以来42年ぶり2人目の海外メジャー優勝だったことで、ニュースバリューが大きかったことが一番だったと思いますが、それに並んで、いやそれ以上に、日本のテレビ局による朝早くの実況中継の影響が大きかったと思います。 大人気となった渋野選手の「スマイル・シンデレラ」と呼ばれた明るい笑顔、プレー中のキャディとの会話の様子、タラの駄菓子をかじる映像など、彼女の一挙手一投足を国民の多くが見たことです。あのテレビ実況の効果、影響はすごく大きかったのではないかと思います。 それに対し、山下選手の場合は一般テレビの中継が無かった。U-NEXTが独占中継をしたので、多くの人はあのゲームを見なかった。 その結果、朝の一般ニュースで山下選手の快挙が伝わったので「すごい!」とは思ったものの、いまひとつピンとこなかったのではないでしょうか。 渋野選手の場合、一般テレビ局の中継だったため、お父さんやお母さんがテレビをつけていれば、子供たちはそれとなく横目でも見ることになります。臨場感があり、大人が「すごい!」と叫べば子供たちもすごいのかなと思う。加えて渋野選手のものおじしない態度、スマイルなどが重なり、小学生から大人まで、ゴルフに興味がない人にもゴルフの面白さを植え付けることにつながったのではないでしょうか。 WBCの中継 同じような現象が野球の世界でも起きようとしています。第6回ワールド・ベースボール・クラシック(世界野球ソフトボール連盟公認の世界選手権大会)ではNETFLIXが独占中継をすることになりました。前回の決勝戦での大谷投手とアメリカのトラウト選手との対決や、準決勝での村上選手のサヨナラ2塁打などの興奮を全国民が共有できたことも、野球人気の復活に大きな影響を与えたのだと思います。 しかし、次の大会はNETFLIXでしか見られないということになると、どうでしょう。野球がかなり好きな人しかNETFLIXとの契約をしないでしょう。すなわち、どこのご家庭でも職場でも気軽には見ることができない。そしてWBCへの関心は薄れていく、ということになりませんか。 WBCも全英女子オープンと同じような経過をたどっていくのではないか、と不安がよぎります。 誰もがほぼ自由に見る機会があるのと、わざわざ契約手続きをしてお金を払って見るのでは大違いです。そして、あまり関心のない人々をゴルフ好き、野球好きに導く機会がかなり失われます。 全英女子オープンやWBCの主催者たちは、目先のお金につられて、ファン層の拡大や将来への布石といった大事な点を見失っているのではないか。そんな気がしてなりません。 若者層や女性の開拓、ゴルフ場の新たな活用など、ゴルフ界共通の大きな目的を忘れている危険が潜んでいるのではないか、と感じます。 ゴルフ場の多目的活用 この連載でも何回か指摘させていただいたのですが、ゴルフ場は今や地域自然、里山保全の最前線にいます。地域の小動物や昆虫、鳥などがゴルフ場に多く移り住んでいます。ゴルフ場が周囲の自然を少しだけ手入れすれば、かなり豊かな生態系が戻るはずです。会員の寄付やボランティアなどで、地域の自然の宝庫となる可能性があるのです。 行政やNPOなどと連携し、ゴルフ場周辺の野山と豊かな自然を守り育てるという積極的な地域支援ができます。 また、多くのゴルフ場は、観光や文化、芸術にも関与できる施設を抱えています。役所やNPOなどと協力すれば、ゴルフ場は地域になくてはならない存在に変身するでしょう。千葉県市原市のように、市を挙げてゴルフ場を活用しようという自治体も増えるでしょう。 ゴルフ場が元気になれば税金も多く支払えるでしょうし、観光の資源にもなる。何よりもゴルフ人口の増加に寄与します。 ゴルフ場内での絵画展、コンサート、ボールがほとんど飛んでこない場所に小道を作っての半日ハイク、さらにはゴルフ見物しながらのバーベキューなど、ゴルフ場の特性を生かした「別なビジネス」を展開することもできるでしょう。 ITやAIがまだ発達していなかったころと今では、ビジネスの世界は大きく変っています。新しい世の中に挑戦し続けることこそ、ビジネス発展の基本要素です。 大人も子供も家族も障碍者も、誰もが喜んでくれるゴルフ場経営に転換することが、今、最も必要なのではないでしょうか。中年男性中心のゴルフ業界から視野を広げた経営へと脱皮することこそ、今後のゴルフ活性化につながるのだと思います。 15 陸の豊かさも守ろう 豊かな自然を守り育てるための方策として、SDGsでは次のように陸の自然の保護を訴えています。 15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。 15.4 2030年までに、持続可能な開発に役に立つ山地の生態系を強化するための保全を確実に行う。 15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、陸域・海洋生態系への影響を大幅に減らす対策をとり、外来種の駆除または根絶を行う。 15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定などについて戦略を作る。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2026年01月11日
    障害者ゴルフ大会 この夏の初め、7月19日に北海道の函館でゴルフを楽しみました。北海道カントリー倶楽部プリンスコースです。内地は猛暑でしたが、コースは駒ケ岳の裾野、心地よい風がコースを通りすぎてゆきます。 この日は全国から集まった身体障害者のゴルフ大会、「ABO杯ドクターズフレンドシップトーナメント in Hokkaido」(日本障害者ゴルフ協会主催)でした。参加者は障害者31名、健常者33名。 昨年、紹介した函館の医療法人雄心会のコンペでチャリティ募金が行われたゴルフ場です。あの時集まった募金が役に立ったようです。 大会では一人か二人の競技者に対し、数人のサポーター(健常者)が一緒に回ります。私もサポーターの一人として参加しました。 亀田愛里プロ、安保雅博大会会長らの始球式の後、第1組がスタートしましたが、選手らは見事なスイングで、まっすぐに糸を引くようなボールが飛んでいきます。 次のチームもその次も、片足が義足の方や片腕しか利かない方、様々な障害を持つ選手たちの鋭い打球が飛んでいきます。むしろサポーターの方々のほうが飛ばない、曲がる、OBに飛びこむ…。 私が参加したチームは、運転とコース説明の方と私、そしてお二人の障害者の計4人。一緒にプレーをしましたが、選手のお二人のほうがずっと上手でした。 日本スティミュレーションセラピー学会 特別仕様のカートに支えられて打つ 今回のゴルフ大会は、日本スティミュレーションセラピー学会・学術大会が函館で開かれたのと連動して開かれました。 スティミュレーションセラピーとは、磁気刺激、電気刺激、徒手による外部刺激などの療法です。この学会は、様々な刺激的治療についての生体への影響・治療効果の検証や技術向上を図ることを目的として、2019年1月に発足しました。 今年の函館での学会・学術大会は17、18日の二日間おこなわれ、スローガンは「自然との融合」でした。函館大会会長の伊藤丈雄氏(医療法人雄心会理事長)は「最新の技術と自然環境との融和がもたらす新たな治療の可能性を探求したい」とあいさつをしています。 学会は、日本のリハビリテーション分野での様々な治療や評価を網羅し、多方面からの研究、発表を受け入れ、リハビリテーション分野の治療法と評価法の更なる発展を目指しています。 このスティミュレーションセラピー学会と函館の医療法人雄心会が協力して開かれたのが、障害者と健常者が一緒に楽しむ今回のゴルフ大会でした。 障害者と健常者が一緒に楽しむ 挨拶をする安保雅博・大会会長(東京慈恵会医科大学教授) 今回の大会の大きな特徴として、障害者と健常者が一緒にプレーを楽しむ、ということでした。 日本障害者ゴルフ協会のホームページによると、松田治子理事長は「障害者ゴルフへの理解と地域社会との連携を深めるため、障害者と健常者が対等にプレーできるゴルフ競技を開催しました」と記しています。 トーナメントは、 ・グランプリの部(障害者 オフィシャルハンデキャップ15以下) ・一般の部(グランプリの部以外の障害者) ・サポートプレーヤー(健常者)の部 の3部門。 グランプリの部はJGAルールによりバックティからのスタート、グロス競技。一般の部とサポートプレーヤーの部は新ペリア方式による競技。グランプリの部の入賞者にはプロとしての賞金が授与されました。 自然との融合 今回の学会のスローガンは自然との融合でしたが、その狙いはゴルフ大会で見事に実っていました。 鋭く天を突く駒ケ岳を背に広大な自然の中でのプレーは、他のスポーツにない、おおらかな気持ちを醸成してくれる。 障害者との壁を全く感じさせない楽しさ。空も森も風も、そして私も「今ここに生きている」という感覚に誘い込まれました。 私だけでなく、多くの参加者がそう語っていました。プレーが終わった後もこの心地よさは続きました。 誰もが分け隔てなく一緒にプレーしている。多様な人間も、それを包む自然も、無欲に受け入れることができる空気。なんとも贅沢な経験をさせていただきました。 これこそSDGsの神髄ではないでしょうか。我欲を抑え、自然にも人間にも敬意をもって接する。ゴルフをしていてもSDGsの本質を感じ取ることができる、という新しい発見でした。 大会運営を取り仕切った医療法人雄心会の金子達也専務理事は「はじめは支援者の方々に大会の趣旨を理解していただくのが大変でした。でも、皆さん、予想以上に楽しそうにプレーしてくれていました。懇親会を兼ねた表彰式では、参加者が分け隔てなく笑顔で話しあっている様子を見ていると、感無量です」と話してくれました。 また、松田理事長は「障害者ゴルフを一般の人に理解してもらうには障害者と一緒にプレーすることが一番です」と手ごたえを感じているようでした。 SDGs宣言の前文 SDGsの前書きでは、SDGs宣言について「人間、地球及び繁栄のための行動計画であり、人間や地球、自然についての決意を表明する」としている。 人間について 貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等そして健康な環境のもとに、持てる潜在能力を発揮する。 地球について 持続可能な消費、生産、天然資源の管理や気候変動に関する緊急の行動をとるなど地球を破壊から守る。 繁栄について すべての人間が豊かで満たされた生活を享受することができること、また、経済的、社会的及び技術的な進歩が自然との調和のうちに生じることを確保する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年11月30日
    トランプ氏の減税・歳出法 アメリカの独立記念日の7月4日、トランプ大統領の肝いり法案である減税法案が成立しました。この法律は大型減税が目玉ですが、その反面温暖化をはじめ地球規模の環境問題に対する大幅な予算削減を伴っています。 新しい法律では、温暖化対策関連経費が今後10年間で5000億ドル(約72兆円)削減される見通しです。バイデン前大統領が行っていた環境政策の多くが中断される内容となっているのです。 現在、アメリカでは電気自動車・EVを購入した場合に7500ドルの支援がありますが、これが廃止されます。特にテスラは政府からの支援策が打ち切られると苦しくなりそうです。そのほか太陽光や風力発電、アンモニア燃料への開発支援も縮小される。 CO2の削減どころか「(石油を)掘って、掘って、掘りまくれ」と化石燃料をどんどん使うよう号令をかけています。 トランプ大統領は就任早々、気候変動枠組み条約のパリ協定から脱退するなど環境問題を目の敵にする政策を推し進めています。 しかし、この減税法案を報道する同じ日の日本経済新聞には、「温暖化の影響で乱気流が発生しやすくなるため航空機が大きく揺れたり、大雨や高温が原因で着陸できなくなる支障が生じ始めている」という記事が掲載されています。また、テキサス州で記録的な雨で大きな洪水が発生し、キャンプをしていた子供など23人が亡くなったという記事もありました(その後、死者は200人以上となりました)。フランスの研究機関は気候変動による大雨の可能性を指摘しています。 「気候変動はない」と断言し、パリ協定から脱退した大統領の思惑とは別に、温暖化の影響が自らの足元から起こり始めているようです。 指導者の義務 トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げ、アメリカだけが栄えればいいのだ、と旗を振り続けています。 アメリカが世界で最も影響力がある国であるのは間違いありません。そして、力があるものは全体に対し応分の責任を負う、という考えが世界共通の考え方でもあります。 世界中どこでも昔から、裕福な人や社会的地位の高いものは社会に対して普通の人々より大きな義務と責任を持つことは当然のこととされています。 アメリカのような大国の指導者たる者は、自国の立場だけ考えるのではなく、世界全体のことを考えて政策決定をすべきです。 しかし、トランプ大統領にはそのような考え、義務感はさらさらないようです。アメリカ第一主義というスローガンからも他国や世界全体の状況を全く考慮していないことがうかがわれます。 温暖化の危機 ところで、このまま温暖化対策が遅れてしまうようなことがあれば大変です。各国が自分の国の利益を優先し、周囲の国々と摩擦を起こすようになれば、温暖化はどんどん進んでしまいます。 30年以上前から、私は新聞記者として温暖化をはじめとする地球的規模の環境問題について報道し、活動してきました。その間、オゾン層の破壊や酸性雨など一部の危機は回避されるようになりましたが、温暖化と生物多様性の課題は悪くなる一方です。特に温暖化は危険です。 気候が大きく変化し、これまでの人類の活動の基盤である気温が異常に上昇すると、生活基盤、文明の基盤が根底から崩れてきます。 熱帯の病気が日本にはびこるようになり、農作物が変化します。台風や大雪、大雨が猛威を振るうようになるでしょう。海面が上昇すれば、多くの都市が使い物にならなくなります。 スキーもゴルフもできない 私は今でもスキーとゴルフが大好きです。しかし夏のゴルフは自宅近くでは暑くてプレーできません。スキーは雪が年々少なくなり、1月から3月ぐらいまでしかできなくなっています。 これまでは、冬はスキー、その他の季節はゴルフを楽しんでいたのですが、スキーの季節が短くなり、ゴルフも夏はできなくなっています。 そんな個人的なことはともかく、生活の基盤が崩れるようになったら大変です。 では、どうしたらよいでしょう。まず、世界の多くの人々が正確な知識を持つことです。 深刻な地球環境問題に対して無知であるならば、怖くもなんともありません。知識があれば、その恐ろしさに気が付きます。 これまでも何度も申し上げていることですが、あえて繰り返します。ゴルフを楽しむ人々は国や地域のリーダー層が多い。そうした方々こそ率先して、世界や地域の危機に対する責任を強く感じていただきたいのです。 パリ協定 パリ協定は、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。2015年にパリで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議で合意されました。当時の米国・オバマ大統領が中国やインドに批准を働きかけるなどした結果、2016年11月4日に発効しました。 パリ協定では、 1) 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする 2) 21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる などが決まっています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年11月22日
    長嶋茂雄さん ミスタープロ野球、長嶋茂雄さんが亡くなった。この衝撃的なニュースが飛び込んできたのは6月3日の朝でした。今年81歳になった私は文字通り長嶋さんの姿にあこがれ、活躍に励まされて育ちました。父親も友達もみんな長嶋ファンでした。 私の小学生時代は横浜の焼け跡でくず鉄拾いの毎日でした。学校は半日で、瓦礫ばかりの地平線に夕陽が沈んでいく景色を眺めて暮らしていました。「戦後は終わった」という言葉が飛び交う頃でした。 中学、高校と育つにつれ、学校も正常化し、白米も食べられるようになり、まさに「三丁目の夕日」の時代でした。 1964年の東京オリンピックの時は大学2年生でした。四谷から新宿まで高層建築物がなく、パチンコ屋も平屋でした。東京オリンピックを機に新幹線や高速道路ができ、日本が先進諸国の仲間入りを果たしつつあった頃です。 長嶋さんは六大学の頃からスターでした。1958年、巨人に入団。その後17年間の現役生活はまさに日本の高度成長にあたります。そんな中で長嶋さんは国民の気持ちを大いに鼓舞してくれた。 長嶋さんの訃報を伝えるテレビニュースを見ていると、私たち世代だけではなくあらゆる世代の方々が弔意を示し、長嶋さんの活躍に励まされた、と話していました。まさに昭和の英雄です。 世界一貧しい大統領 長嶋さんが亡くなる半月ほど前、ウルグアイ大統領だったホセ・ムヒカさんが亡くなりました。長嶋さんと同じく享年89歳でした。 ムヒカさんは「世界一貧しい大統領」として知られています。大統領になっても簡素な自宅からオンボロのフォルクスワーゲンで通い、給与のほとんどを寄付していました。 2002年、ブラジルで開かれた国連環境サミットでの演説は今も語り草になっています。ノーネクタイで壇上に表れたムヒカさんは次のように語ったのです。 「世界一貧しい大統領と呼ばれていますが、自分のことを貧しいとは思いません。貧しい人とは、豪華な暮らしを保つためだけに働き、次から次へと物を欲しがる人のことを言うのです」 「現代の超消費主義のおかげで、私たちは最も肝心なことを忘れてしまいました。人としての能力を、人類の幸福とはほとんど関係がないことに無駄使いしているのです」 「西洋の富裕社会が持つ傲慢な消費を、世界の70億~80億人の人達がみな楽しめるのか。その原料がこの地球にあるのでしょうか」 この演説は広く人々の心を打ち、ノーベル賞の候補にもなりました。 ムヒカさんは貧困家庭に生まれ、極左都市ゲリラ組織に参加。4度の逮捕で計13年収監されるという過酷な経験を糧に2009年、ウルグアイの第40代大統領になっています。 SDGsの申し子 ムヒカさんのこうした経歴や演説はまさにSDGsの本質を実践するものです。環境問題は政治の問題だと看破し、貧困と地球環境についての実践的な政策を実行しました。 ムヒカさんは5年間の大統領在任中に、ウルグアイ経済を毎年7%成長させました。1人あたりのGDPが南米最高を記録し、貧困率を押し下げ国民を豊かにしたのです。 キリスト教的に異端である同性結婚や妊娠初期の妊娠中絶を合法化したほか、不法組織の資金源になっていた大麻を合法化することにより裏取引のうまみをなくし、不法組織を弱体化したのです。 大統領時代の貧困とも見える生活態度を貫いたのは「大統領は平均的な国民の生活と同レベルの生活をすべきだ」という信念からでした。 経済格差と環境破壊という二つの大きな人類の課題の根源には、行き過ぎた消費社会があると考え、大統領として様々な政策を実践したのでした。この態度、信念はSDGsの目標と全く一致しています。 大統領の公務ではネクタイを締めませんでした。政府の会議で他の出席者はスーツにネクタイをしているのに対し、ムヒカさんは常にノーネクタイでした。ムヒカさんは「ネクタイを締めることは政治家の口を締めあげることであり、ネクタイは現代文明の奴隷の道具だ」と考えていたそうです。 スポーツの世界にSDGsを プロ野球の世界では、大谷翔平選手がアメリカのメジャー・リーグで大活躍しています。鈴木誠也選手も山本由伸投手も活躍している。 プロゴルフの世界でも、ひと昔前のジャンボ尾崎さんや青木功さん、中嶋常幸さんの時代から今は松山英樹選手、また最近の女子プロ選手のアメリカでの大活躍など様々な変化が生じてきています。 日本のスポーツは長嶋さんの頃とは雲泥の差で強くなっています。サッカーも体操も陸上も世界最強のグループに入っています。 次は世界レベルでの社会貢献活動ではないでしょうか。強いスポーツ選手が何かしら社会貢献に踏み出してくれないだろうか、と強く思います。 SDGs1 貧困をなくそう 1)2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困を終わらせる。 2)2030年までに、あらゆる次元の貧困状態にある全ての男性、女性、子供の割合を半分にする。 3)各国において最低限の基準を含む適切な対策を実施し、2030年までに貧困層に対し十分な保護を達成する。 4)2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に強くする。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年10月19日
    元女子プロゴルファー、イ・ボミさんの人生が先日、テレビで放映されていました。幼少時代からの猛練習や恩師の証言など、人間ドラマとしても面白かった。 その中で仲良しだった上田桃子選手との会話のシーンがありました。上田さんが「ボミちゃんは厳しい戦いのさなかでも相手選手が良いプレーをすると拍手したり声をあげたりするよね。真剣に勝負しているときに私はそんなことはできない。どうしてそんな余裕があるの」と聞いたところ、イ・ボミさんは次のように答えたのです。 「子どもの頃から私はゴルフが大好きでした。何時間練習しても楽しかった。私にとってゴルフでの対戦相手はゴルフコースなんです。人と競争するのではなく、いかにコースを攻略するか、そこなんです。難しいコースをうまく乗り切ると気持ちがいい。だからスコアが競っている時でも相手の方が良いプレーをすると嬉しいんです」 私はその時、以前にこの連載で中部銀次郎さんが「コース攻略はティーグラウンドからいかにきれいな線を引いてホール迄たどり着くのかということが大事なのです」という趣旨の話を取り上げたことを思い出しました。その時は、中部さんの言葉を登山に当てはめて、未踏の岩壁を初登攀するときに「真っ白い巨大なキャンバスにどのような線を引いていくのかと考える」ことに似ていると書きましたが、今回のイ・ボミさんの発言を聞いて同じ感覚が蘇ってきました。 人との闘いを超えて スケートの小平奈緒さんがテレビのインタビューで「氷と仲良くなりたい」という趣旨の話をしたことがあります。世界一を争うトップ選手がレースのテクニックや体力強化ではなく、「氷と仲良く」と言ったことに意外な感じがしました。 ソウル・オリンピックで金メダルに輝いた後、青森山田学園で講演、対談に来てくださり、学生の前でオリンピックでの経験を話していただきました。 話が終わって個人的に話す機会があり、「氷と仲良くなりたい」という言葉の意味をお聞きしました。 小平さんは「うまく説明できないんですが……」と言葉を濁されていましたが、前後の会話から、私は、スピードを出すために「氷の状態を足元から感じとり、それに合わせた滑りがしたい」ということではないかと推察しました。 0秒1を争う厳しいレースを制するためには、「氷の状況をいかにうまくつかむか」が勝敗を決する。足元から感じ取る氷の状態、硬いとか柔らかな感じだとかいう微妙な変化をうまくつかみ取り、それに合わせた滑りをしていくことが究極の課題だ、と言いたかったのだろうと思いました。 そうした信念が、レース後に銀メダルに輝いた韓国の選手を抱きしめた行為に表れていたようです。 小平選手の発言は、イ・ボミ選手が「コースとの闘いだ」という信念と同じように思えます。それが結果的に勝ちに結び付くのではないでしょうか。 ランナーズ・ハイ 人間同士の勝ち負けを争う競技ではライバルや人間同士の戦いに終始することが多いでしょう。しかし、ある時点で競技者は人間同士の戦いを超えて競技そのものに集中し、気持ちよいショット、きれいに滑ること、といった次元に入り込むことがあり、これは一般的には「ゾーンに入る」などと表現しています。 往年のマラソンランナーの瀬古利彦さんは最近のテレビのインタビューで、「長い競技生活の中で一度だけ、どこまでも走れるような気がしたことがあった」と、いわゆるランナーズハイの状態を経験したと話しています。 登山にも初登頂、初登攀などを競うこともありますが、人間同士の戦いより山は厳しい存在です。最終的には人との競争より、山との闘いのほうがはるかに難しい課題になります。 夢を追う高い目標 こうした心理状態に入り込むことはスポーツに限らず、どの分野にもあるでしょう。そこが人間の面白いところではないでしょうか。 SDGsは本来の目標として、現在の世界を覆う貧困、不平等、環境問題などの改善について、社会や経済の構造そのものを再設計するような「抜本的な変革」が必要であると強く訴えています。「誰一人取り残さない」政策をも要求しています。 人間同士の競争ではなく、地球と人間との共存といった次元に思いを馳せてほしい、という期待が背後にあります。イ・ボミ選手の発言に通じる考え方です。 プロゴルファーが技術や勝負を超えた心情をより積極的に発信していただければ、日本各地で影響力のある様々なゴルファーに大きな力を与えてくれる。 それが広がって多くの人が「人間と自然、地球」などのあり方を再考するきっかけとなるでしょう。SDGsの本質はそこにあるのです。 SDGsの本質 1 持続可能な世界の実現。人間社会・経済・環境がバランスよく発展し、将来の世代も豊かに暮らせるようにすること 2 誰一人取り残さない。貧困・格差・差別・不平等など、世界中のすべての人が人間らしく生きられる社会を目指す 3 地球規模の課題解決。気候変動、資源の枯渇、生態系の破壊など、地球規模で取り組むべき問題に国際社会が連携して取り組む 4 普遍性と共通目標。SDGsは、すべての国(先進国・発展途上国)に適用され、目標達成に向けて行動する 無心で走っていると、誰でもランナーズハイになることがある。どこまでも気持ちよく走っていけるような気分で、走っていることすら忘れるほどだ。 SDGsは、人と自然、地球などとの付き合い方を根本的に考え直すことを求めています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年09月23日
    チャットGPTの反応 ゴルフ場とSDGsについてチャットGPTで探ってみたところ、SDGsに熱心なゴルフ場の事例としてアメリカのペブルビーチ・ゴルフリンクスの名が挙がっていました。 その時、私は「もしかして」と思い、10年ほど前に友人からもらったキャディバッグを引っ張り出したところ、やっぱり、やや小ぶりのキャディバッグのアイアンやドライバーに「Pebble beach」の文字がありました。 クラブの長さがやや短いので女性用かなとも感じました。登山ではピッケルを使いますが、ヨーロッパの男性用のピッケルは重くて大きいため、日本人の多くは女性用を使っていたので、このクラブも女性用かなと思ったのです。子ども用かもしれません。 頂いたバッグとギアは写真のようにやや古めかしいものでした。形状は同じようですが、ドライバーとフェアウェーウッドは今のものとは全く違っていて、パーシモンとも違っています。 バッグは品の良いグリーンで、飾っておくのに良い形です。こちらはSam Sayerの銘が入っていました。スコットランドの有名プレーヤーが設立したゴルフメーカーです。 いつごろのものか検討もつきません。なんとなく気に入って、捨てずにおいたのですが、チャットGPTの報告を受けて、今まで放っておいたのがバチ当たりに思えました。 ペブルビーチでの取り組み すぐにペブルビーチのホームページをのぞいてみると「グリーン・イニシアチブ」という項目があり、読んでみるとかなり凄い。 まず初めに、会社からのメッセージとして「当社はデルモンテ・フォレストと海岸線の環境保護に強い誇りを持っています。約2300ヘクタールの敷地とオープンスペースを持続可能な方法で管理し、ペブルビーチを未来の世代にも楽しんでいただけるようにすることが私たちの目標です」と宣言しています。 具体的には、自然保全、海に落ちたゴルフボールの回収、エネルギー、水部門について様々なプログラムを展開しています。 自然の保全については「生態系を保護し、維持する責任を真剣に受け止めている」として、林業・生態学や在来植物の苗圃を担当する常勤スタッフが10人。年間7万本の在来植物を栽培することが可能で、植生再生・森林再生プロジェクトに利用しています。 また、レストランでは地元のオーガニック農産物や持続可能なシーフードに重点を置いています。そのほか、コースと客室の両方で節水及び水質保全。高度なコンピュータシステムと携帯型無線制御を使用して必要に応じて散水する。ハイブリッド車、電気自動車の活用などによりエネルギー使用量を16%削減。リサイクルでは毎年650万ポンドを超えるプラスチック、ガラス、金属、段ボール、紙、緑の廃棄物などを削減するなど、ゴルフ場挙げてSDGsに取り組んでいます。 ゴルフ場が自然保護区 特筆すべきは、ゴルフコースと関連施設などを含む自然環境が全米を代表する環境保護団体・オーデュボン・インターナショナルによって「認定オーデュボン協同保護区」に指定されていることです。 認証を得るには、環境計画、野生生物と生息地の管理、アウトリーチと教育、化学物質の使用削減や水資源の保全・水質管理など様々な分野でレベルの高い環境品質を維持していることを示す必要があります。 これはペブルビーチがかなりの負担を覚悟でSDGsに取り組んでいる証拠です。でも、結果的には経費削減につながり、ゴルフ場としての品格が高まり、集客にも寄与しているのではないかと思います。 世界の動向 ペブルビーチのほかにもSDGsに熱心に取り組んでいるゴルフ場はないか調べてみました。 ヨーロッパではTerras da Comporta (ポルトガル) が2024年の「ヨーロッパで最もエコフレンドリーなゴルフ施設」に選ばれています。Berkhamsted Golf Club (イギリス) は、環境保全活動の一環として、デボン・レッド種の牛をコース内で放牧し、生態系の維持と景観の保全に寄与しています。 アジアではHoiana Shores Golf Club (ベトナム) が持続可能なコース設計と建設が評価され、スプリングシティゴルフ&amp;レイクリゾート (中国) は、24万5000本の樹木、8万本のつる植物、160万本の花を育て、高品質な生態系を維持しています。 日本では、湯田カントリー倶楽部 (山口県) の、フードロス対策として100円まかない制度の導入が評価されているほか、10か所ほどのゴルフ場が評価されていました。 こうした事例はあくまでチャットGPTが紹介したもので、このほかにもたくさんの優良事例があると思いますが、いずれにしても、世界各国ではかなり専門的なところまで踏み込んでSDGsに取り組んでいるようです。 日本のゴルフ場もさらにエンジンをかけて世界に冠たるゴルフ文化を育てたいものです。 17. パートナーシップで目標を達成しよう 16項目・マルチ・ステークホルダー・パートナーシップを進める。全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援するため、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。 【註】世界のゴルフ場がSDGsに取り組み、お互いが刺激しあって、協力の度合いを高めることにより、ゴルフというスポーツの認知度を高め、人々から愛される存在になれると思われます。中でも日本の活躍が待たれています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年08月22日
    多彩なゴルフ振興策 私が住む千葉県市原市にはゴルフ場が33か所あります。一つの市では全国で最高の数です。市原市の全面積の約10%がゴルフ場で、合計37万平方kmもあります。 小出譲治・市原市長は「これだけのゴルフ場を抱えていることは、地域の有益な資産です」と話します。 小出譲治・市原市長 一時は「ゴルフ場ばかりで困る」という声も聴かれましたが、小出市長は逆に「地域の資産」として活用しようというのです。 「市内に33ものゴルフ場があるのは市原市だけ。それを前向きにとらえ、地域振興の柱の一つにゴルフ場を組み込んだほうが良い。ゆくゆくは、日本のゴルフの聖地と呼ばれるようにしたい」と意気軒高です。 ゴルフ振興事業のため、市は市原市観光協会、商工会、市内のゴルフ場などで構成される「市原ゴルフ場連絡協議会」と連携しました。 市と協議会が一緒になって「ゴルフの街いちはら」推進プロジェクトを実施。初心者が手ぶらでゴルフ場を訪れ、ゴルフ場のスタッフに基本的なルールやマナーを学び、ショットやパッティングの練習をした後、実際のゴルフ体験をするという「手ぶらdeゴルフ」などを実施しています。 ゴルフボールやゴルフプレー券をふるさと納税の返礼品としたり、「いちはらゴルフ場巡り33スタンプラリー」を設定。市内のゴルフ場を5か所、11か所、22か所回るごとに市の特産品などを贈呈する。33か所すべてプレーした人には養老渓谷温泉旅館のペア宿泊補助券などが贈呈されるなど、多彩な活動を展開しています。 ゴルフ場支配人から市の地方創生部観光・国際交流課に転職した稲田康男さん 極めつけは、鶴舞カントリー倶楽部の総支配人を務めていた稲田康男さんを、市の地方創生部観光・国際交流課の主幹(ゴルフの街いちはら推進担当)に迎えたことです。 ジュニアゴルフを育てる がんばる4年生 稲田さんは「市が率先してゴルフ振興の旗を振ってくれているので何とか力になりたいと思って」と転身を決意。市に入ったことで、ゴルフ場と役所との距離が近くなり、協力体制が進みました。 「お互いに長所を認め合って、議論できるようになり、新しい試みがどんどん出てきています」と稲田さんは手ごたえを語ります。 令和6年4月1日、市原市の源氏山ゴルフクラブで「第2回市原市ジュニアゴルフオープン」が開催され、全国から112人の小・中・高校生が集まり熱戦を繰り広げました。 高校女子の部で優勝したのは3年の鈴木能々子さん(1アンダー・71)。中学女子では飯田柚月さん(2アンダー・70)、男子は大久保友貴君(1アンダー・71)でした。 市のゴルフ振興策で最も力を入れているのがジュニア層の育成です。子どもたちがゴルフを心から楽しめれば将来が楽しみであり、やがてゴルフ振興にも貢献してくれるという期待からです。 稲田さんは「昨年より参加者が増え、成績も向上しています。日本を代表するゴルフ大会になるよう応援したい」と超前向きです。 実際、市原市から2年前、当時中学生の根本悠誠君がアメリカにゴルフ留学。須藤みかなさんがニュージーランドへ、南愛美さん(小4)はアメリカの世界大会で過去連続優勝、今年は3連覇を狙います。 市民ゴルフフェスタで 今年1月から2月の平日に「市原市民ゴルフフェスタ」が開かれました。市原市民であればゴルフフィーが割引され、716人が利用しました。 また、プラスチック製のクラブとテニスの軟球のようなボールで楽しむ「スナッグゴルフ」も実施。市内10の小学校で、校庭や広場でのプレーが行われました。 他の14校では実際のゴルフ場でプレー。ゴルフ場の方も「暇な時期を選んで提供しましたが、喜んでもらえてうれしい」と全面協力です。 これは選手育成だけでなく、もっと幅広くゴルフを広めようという意思の表れであり、「ゴルフは人間教育に適している」という信念からでもあります。 スコアは自分で記録し、嘘はつかない、ズルはしない。初歩からゆっくり練習すれば誰でもうまくなれる。友人を気遣う。広い自然の中で行うスポーツで、身体にも良く、チームワークも学べる——子どもたちが成長する上で大切なことが、ゴルフを通して身につくのです。 地域創生事業 子どもたちだけではありません。市民もゴルフに理解を持ち、ゴルフを始める人が増えました。特に女性ゴルファーが増加。スタンプラリーで33か所制覇した人の29%が女性でした。 市原市を訪れるゴルファーも増えています。一昨年は年間170万人だったのが、昨年は177万人に増加。市民全体で取り組むゴルフ振興策が着実に成果を上げています。 市原市ではSDGsの推進にも力を入れており、ゴルフ場も多数参加。里山保全の主役でもあります。 こうした市原市の試みが全国に広がると良いですね。すでに市原市は、兵庫県三木市(市内に25か所のゴルフ場あり)との交流も始めています。こうした動きが他の自治体にも広がることを願っています。 11. 住み続けられるまちづくりを 都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にすることを目指して、以下のような10のターゲットが掲げられています: 2030年までに包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済・社会・環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する 市原市はゴルフを武器に新しいまちづくりに挑戦しています。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年07月26日
    トランプ大統領の再登場 ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に再任されました。トランプ大統領は1月20日の大統領就任から1か月の間に、前政権の政策を矢継ぎ早に取り消しています。 2017年から21年までの第一次トランプ政権の時代に逆戻りです。2020年に政権を失ってからの4年間、民主党のバイデン大統領がトランプ時代の政策を大きく変更、環境保護よりの政策を進めてきました。しかしトランプ氏の返り咲きで、再び環境受難の時代が始まったようです。 トランプ大統領は今回の就任直後にエネルギー開発の促進、アラスカの資源開発推進、国家エネルギー非常事態宣言、パリ協定からの脱退、洋上風力発電への開発制限など大規模な政策変更を発表しました。 まず、温暖化防止を目的とするパリ条約の脱退を決めました。予想されていたとはいえ、世界は動揺しました。なにしろ世界で2番目に多く二酸化炭素を排出している国が「温暖化など知らないよ」と言い出したのですから。 なかでも化石燃料産業への支援強化策は、温暖化防止どころか温暖化「推進」政策と言えます。石油や天然ガスの採掘に対する環境規制を緩和し、アラスカでの開発では自然破壊に目をつぶることにしています。 石油を始めシェールガスなどの採掘が推進するよう各種規制を緩め、「掘って、掘って、掘りまくれ」と勇ましい掛け声を発しています。返す刀で電気自動車の義務化の撤廃、支援の見直し、さらに環境保護庁の権限縮小と政策の転換を実施し始めました。 レーガン政権時代 COP27では、日本が主導してパリ協定6条(市場メカニズム)ルール理解促進や研修の実施等を支援する「パリ協定6条パートナーシップ」を立ち上げた。写真中央は西村環境大臣(環境省ホームページより) 今回のような政策は、以前にもありました。レーガン大統領の時代です。1981年に就任したレーガン大統領は今回のトランプ大統領と同様に反環境政策を実施したことで知られています。 私は1990年に「アメリカの環境保護運動」(岩波新書)を出版しましたが、その中で次のようなことを書きました。 レーガン政権の8年間は、環境保護グループにとって悪夢の時代だった。環境保護局の予算は大きく削られ、カナダとの酸性雨の問題は何の進展も見せなかった。環境政策は後退を重ね、経済優先の政策がすっかり幅をきかせるようになっていた。 しかし、その間、チェルノブイリ原発事故(1986年)、酸性雨、砂漠化など国境を超える環境破壊が各地で発生し、さらに温暖化、森林減少、野生生物の減少といった地球的規模の環境問題が深刻な課題として認識され始めました。 レーガン政権の環境政策は徐々に批判の対象となってきました。このため1988年の大統領選挙では、共和党のブッシュ氏と民主党のデュカキス氏が対決しましたが、両陣営とも環境問題を大きく取り上げることになりました。時代は大きく動き始めたのです。 デタントの影響 世界の国別CO2排出量は中国が断トツ、ついでアメリカ、日本は5位(エネルギー・経済統計要覧2024年版を基に筆者作成) レーガン政権の環境政策が批判され始めたのは、温暖化など地球環境問題の出現ですが、もう一つ大きな政治的影響がありました。それはデタント(東西両陣営の緊張緩和)でした。 旧ソ連のゴルバチョフ書記長が進めたペレストロイカ路線により、人類の最大の課題である核戦争の恐怖がやや遠のき、その背後から地球環境問題が顔をのぞかせ始めたのです。 国連総会でシュワルナゼ外相が地球環境問題での委員会の提唱を行うなどソ連は環境保護に積極的な姿勢を示し始めたことも影響しました。 そもそも環境問題は目に見える被害がすぐ現れず、慢性病のようなものです。それに対し、核の問題や経済の急変は骨折のような緊急を要する課題です。 通常は緊急性がある課題が優先され慢性的な問題は後回しになります。特に地球環境は目に見えにくく、緊急性の課題が多い時には後回しになることが多い。しかし慢性病も放っておくと癌になったりします。命取りにもなる。 このように、1980年代後半になると地球環境問題の恐ろしさが認識されるようになり、レーガン大統領も出席した1988年のアルシュ・サミットでは地球環境問題が主要な課題になりました。 アメリカではブッシュ氏が大統領になり、環境問題はやや進展を見せましたが、まだ不十分でした。続くオバマ大統領になってようやく環境保護が大きな課題となり今日まで続いてきました。 環境冬の時代を乗り越える そしてまた反環境主義が前面に乗り出してきた。世界第一の大国アメリカが自己主義に閉じこもってしまうと、その影響は計り知れません。環境だけでなく、世界秩序の無視などにも繋がり、これまで営々として築き上げてきた民主主義という政治形態も脅かされようとしています。 しかしながら、この30年、アメリカは揺れながらも地球環境問題に貢献してきました。アメリカの市民の声に期待しながらなんとかこの4年間を乗り越えたいと思います。 今回は少々理屈っぽくなりましたが、環境問題と国際政治とが互いに絡み合って進展していることをお伝えしました。 温暖化はゴルフ業界も無視できない課題です。アメリカ国民も夏の暑さや山火事、ハリケーンなどは大きな問題と考えるでしょう。 日本も積極的に取り組まなくてはいけません。 13.気候変動に具体的な対策を この項目での主な具体策 すべての国々で災害や自然災害に関する強靱性及び適応の能力を強化する。 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。 国連気候変動枠組条約が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年07月08日
    十和田での経験 何年か前にマレーシア大使と十和田湖近くのゴルフ場でプレーをご一緒したことがあります。大使以下20人ほどのマレーシアの方々が集まり、6月の良い季節だったこともあって皆さん大いに楽しんでおられました。 私はその時、ホスト役であったのですが、4番のミドルホール、残り160ヤードの2打目でイーグルを達成しました。一緒にプレーをしていた皆さんが本当に喜んでくださった。下手なゴルフですのでめったにそんなことはできませんから、今も鮮明に覚えています。 大学で留学生の世話をする立場からアジア各国の大使館とは面識があり、いつの間にか各国大使館のコンペに参加するようになっていたのです。どの大使もゴルフが好きで、自分の大使館のコンペはもちろん他の大使館のコンペ、ASEANのコンペなど機会を見つけてはゴルフを楽しんでおられます。当然、大使館員や各国業界の日本支社長といった方々もゴルフに参加されます。 私は十和田での皆さんの楽しむ様子から新たな客層を感じたのです。 アジアを視野に入れる マレーシア大使(左から2番目)と十和田で親善ゴルフ。大使の右側が筆者。アジア各国の在日大使館ではゴルフコンペが盛ん。 私は「アジア客に強い」ゴルフ場があればかなり集客が見込めると思いますが、中には外国人の入会を認めないゴルフ場があります。これは有望なマーケットを見逃しているのではないかと思います。 今後の世界経済の動向を見れば、アジア各国は成長し、世界の主要なマーケットになるのは間違いありません。今は、アジアからのお客を引き入れ、アジアの各国に様々なゴルフ関連業界が進出する絶好の機会だと思っています。 一方、日本の人口は急激に減っています。昨年生まれた子供は75万人です。20年後の20歳人口は現在の117万人から42万人も減ります。ゴルフ人口も減るでしょう。 これに反比例して外国人労働者が増えています。現在350万人ぐらいですが、日本政府は2050年までには1000万人に増やす計画です。日本に外国人が増え続けることと日本人の若者がどんどん減っていくことが同時並行で進んでいます。 昭和生まれの方々には考えられないことかもしれませんが、日本はこのような方向に進んでいくことは間違いなさそうです。 中国やインド、マレーシア、シンガポールなど様々な国の富裕層が日本に来ています。ゴルフをしたい方がたくさんいます。アジアというマーケットを積極的に取り込む努力をすることを前提として、今から様々な策を用意しているゴルフ場が生き残るのだと思います。 ゴルフ場の改革 大使館のコンペには50人以上集まる。大きなコンペは100人を超える。アジアの大使館をゲストに迎えたい。 私が学生だった頃はもう一つのパートナーシップの柱は若者対策です。サッカーよりラグビーの方が人気があったような気がします。しかしサッカーはJリーグを立ち上げ、今では野球をしのぐ勢いです。 2024年度の高校選手権では会場の国立競技場に5万8000人の観衆が詰めかけました。夏の甲子園の決勝より多いのです。 これはサッカー協会が様々な努力をし、企業中心のクラブから地域密着型のクラブ形式にしたり、Jリーグの下部リーグや若い世代の育成に熱心に取り組んできたからです。 これに対し、ゴルフはどうか。ゴルファーの多くは高齢化したままで、将来が心配です。 現在の状況だけでなく10年後20年後のゴルフ界を想像してみてください。世界は今以上のスピードで進化し続けます。それに備えた対策が遅れてはいないか。 格式ある伝統を守り、人に迷惑をかけない行動などについてきちんと教育することはもちろん大切ですが、その一方で、もう少しカジュアルな感じのゴルフ場が増えてもいいのではないかと思います。 プレーフィーについてもパブリックで安いところが欲しい。若いゴルファーは年齢別のフィーを考えたらどうか。学割も欲しい。 マナーと基礎技術をゴルフ場が無料で教えるゴルフ教室もいいと思います。ゴルフ協会が公式にオンライン講座を開設してもいい。その過程をクリアした初心者は、はじめの数回のフィーを割引するというのはどうでしょう。 若者はSDGsに真剣 2023年度に優勝した青森山田高校サッカー部。決勝戦は5万人を超える大観衆。時間をかけて若い世代を育成したサッカーの人気は高まるばかり。 価格の問題とは別に、若い人たちのSDGsへの関心は非常に強いということを知っておくのも重要です。 考えてみてください。年寄りは間もなく死んでいきます。しかし若者たちは2050年という時代に生きているのです。温暖化や生物多様性の課題は自分たちの課題として非常に重く受け止めています。 特に10代の若者は男性で58.5%、女性72.4%がSDGsの行動を起こしています。これは男性の他世代の平均31.3%、同じく女性の41.4%に比べ圧倒的に高い数値です。 SDGsは若い世代にとって非常に深刻な課題です。この流れに沿って、ゴルフ業界がSDGs対応に本気で大きく舵を切れば、若者は集まってくるはずです。 17 グローバル・パートナーシップを活性化する 全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを推進するなど19項目がターゲットとなっている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年06月20日
    人を育てること 青森勤務が終り、時間ができたので庭の手入れを始めたら想像以上に荒れていました。10年間放っておいたから当然です。ツツジの生垣に落ち葉が詰まっていて取り除くと枝が傷ついている。中は枯れかかっていて触るとポキポキ折れる状態です。 考えてみると人工的な林や庭は人間が手入れをしなければ荒れるに決まってます。庭の手入れをしながらふと、教育も同じではないかと思いました。 今の教育は小学校から大学まで、手入れが行き届いていないのではないだろうか。知識のようなものは教えますが、人間としての基本をおろそかにしている。庭木の手入れをしていて日常の手入れの必要性を感じたのですが、教育でも、人としての生き方を丹念に教えることがなくなり、見栄えのする知識だけを教えているように思えてなりません。 命の尊さ、自然の不思議、愛情、謙虚、人助け、協力……様々な生きる基本がおろそかにされているようです。 私は長く子どもたちの自然体験の重要性を訴えてきていますが、正義感やフェアープレーの重要性も大切です。そう考えてみると、ゴルフは実はその両方を備えているように思えるのです。 学校のクラブ活動にゴルフを 中学、高校、大学と、学校のゴルフ部は少ないですね。何となくお金持ちのおじさんのスポーツというイメージが染みついてしまって、金のない若者には無縁のものと思われてきたからか、いずれにしても、もったいない。 野球やサッカー、音楽などのクラブはプロを目指す本格的なものもあれば同好会やインターカレッジと言ってどこの大学でも構わず入れるクラブがあったりします。 ゴルフもプロを目指す名門大学がありますが、もっと手軽な同好会などがたくさんあっても良いと感じています。ゴルフはまだ若者には浸透していません。 これを放置しておくことはないと思います。キャディのアルバイトとトレーニングなどが一緒にできないでしょうか。ゴルフ場がインターカレッジのようなクラブを設置したらどうか。 学生が安くゴルフを楽しめる方法を開発したらよいと思います。週末にお手伝いしたらウイークデイに午後から無料でプレーできるようにするなどの制度もいいでしょう。ゴルフの技術指導やインターカレッジ競技大会などの支援もいい。 山の先輩 見知らぬ若者にも支援を惜しまなかった泉靖一先生(1915-1970) 私は中学から大学まで山岳部で活動していました。大学山岳部は日本山岳会の傘下にあって、各大学が日本山岳会の図書館や部屋を借りてミーティングを開き、先輩たちの指導を受けていました。その時は大学の区別はなく、全員が同じ大学のような雰囲気です。 それが卒業後も続き、連綿と繋がっています。柔道やボーイスカウトなども似たような雰囲気があって国会議員のOB会もあります。 この連載でも書いたように、橋本龍太郎さんや堂本暁子さんは日本山岳会の先輩で、私は彼らの後輩であるので親しくさせていただきました。 私は大学を卒業するころになって文化人類学の先生になりたくなり、東大の泉靖一先生を訪ねて大学院進学の相談をさせていただきました。 泉先生は見ず知らずの私に会ってくださったのも大学山岳部の人間だったからです。大学院が受からなかったらどうしたらいいかお聞きすると、先生は大学を卒業してから3年生に編入する学士入学というのがあるからそれを受けなさい、と言う。山ばかり登っていて勉強には自信がなかった私は、それも落ちたらどうしたらいいかと聞いたところ、先生は大笑いしながら「全部だめだったら俺の研究生になれ。そして2年間勉強して大学院に入れなかったら諦めろ」と言うのです。 初対面の若者にこうまで面倒を見ようとしてくれる。自分の直接の後輩ではなくても同じように接してくれる懐の深さです。さらに京大の梅棹忠雄先生を紹介してくれました。 試験は全部落ちて泉先生の研究生となりましたが、4月からは学生紛争が激しくなり大学の授業はほとんどなくなって進路変更で、読売新聞社に入社することになったのです。 ゴルフの教育力 市原市はジュニアゴルファーの育成にも力を注いでいます。市原市ホームページより。 SDGsの「質の高い教育をみんなに」と言う項目にはより良い教育の課題が書かれています。すなわち人間としての基本を教えることも含まれているはずです。 ゴルフはフェアープレーの精神が基本です。スコアは自己申告です。プレー相手を尊敬します。人間の基本が詰まっています。まともな人間を育てるには格好のスポーツです。自然を楽しみ、自然のありようによってプレーが変わります。 もっともっと若い人たちに広げて良いスポーツです。私の山岳部での経験のような繋がりはできないでしょうか。ゴルフ界挙げて若者獲得に知恵を絞るべきだと思います。 4 質の高い教育をみんなに すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。そのターゲットは 1)2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする 2)2030年までに全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする 3)2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる など10項目が掲げられている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年05月23日
    アメリカ大統領選挙 世界を動かす司令塔でもあるホワイトハウス アメリカの次期大統領に決まったトランプ氏は現在の改善を図ることに重点を置き、敗れたハリス氏はこれから先の課題を念頭に置いた課題解決策を主張しました。例えば、移民対策や経済改善など今直面する課題対策を訴えた共和党に対し、地球環境問題やAIの危険性など未来に繋がる危険性に力を入れる民主党といった構図だったとも言えるでしょう。現在と未来のどちらに重点を置くかの選択だったといえる側面があったのではないでしょうか。 SDGsはどちらかというと民主党の主張に近いでしょう。現在の課題を未来に向けて改善するための具体的な方策を掲げているのがSDGsです。ですから現実に困っている人、戦っている人達には、SDGsに掲げられた対策は空虚に感じられることがあります。SDGsは、将来のことより今の状況を改善してほしい、という切実な声にかき消されてしまうことが多いのです。 トランプ次期アメリカ大統領は、気候変動枠組み条約を脱退するでしょう。環境問題よりも今の課題、すなわち経済成長やアメリカの利益を優先し「強いアメリカ」というスローガンのもとに、世界の課題よりアメリカを優先し、将来の課題より今の課題に集中するようです。 アメリカ大統領選直後、アゼルバイジャンのバクーで開かれた国連気候変動枠組み条約29回締約国会議(COP29)では、先進国首脳の参加はイタリアとイギリスの首相だけでした。アメリカがこの会議から抜ければ、気候変動の対策はさらに停滞するでしょう。 人類の課題 11月、アゼルバイジャンのバクーで開かれたCOP29のポスター 最近売り出し中のドイツの哲学者マルクス・ガブリエル氏(ボン大学教授)は、これからの人類の課題は「地球環境問題とAIだ」と語っています。まだ44歳の気鋭の学者は自分たちの世代の将来について鋭い目を向けているようです。 2024年11月16日付けの読売新聞でガブリエル氏は「気候変動の影響を私たちは日増しに強く実感している。地球環境は危機に瀕し、人類の運命を左右する重大な脅威となっています」と話しています。 人間のあり方を考える哲学者が今人類の危機を訴えているのです。地球全体の課題を考えている人がいる反面、「今」しか考えられない、そして自国の利益だけを主張する人もいる。それが世界の運命を左右するほどの力を保持するアメリカの、今回の選択です。 ガブリエル氏はまた、AIについても大きな警鐘を鳴らしています。「AIを用いて悪意の国家や党派や狂信者らが虚偽情報を生成し、SNSで拡散して民主主義を損なう事案が続出しています」(先の読売記事)と言っています。未来を見据えつつ現在を論じなければ、人類に希望はありません。 SDGsの主張 SDGsの17の項目をいくつかに分けてみましょう。1番から3番、6番が主として「途上国の貧困」の問題です。7番、8番、9番、11番から15番までが「地球環境問題」そして4番は「教育」5番は「ジェンダー」10番は「不平等」。16番「平和」と17番「パートナーシップ」は基本課題と言えるでしょう。 これが実は、世界を取り巻く重要課題です。そしてSDGsでは近未来にこうした人類共通の課題を改善すべく、具体策を提示しています。ともすると、SDGsは環境問題が主役のように思われますが、現在から近未来にかけての人類の課題をほとんど扱っています。 ここのところをしっかりと理解、協力し、実行していただきたい、というのが国連の考えです。 ゴルフ界も協力を SDGsの基本的な考え方を理解した上で、ゴルフ界が具体的にどんな協力ができるか、それを皆さんで考えていただきたいのです。 おかげさまでゴルフ界にも理解者が増えているようです。具体的な実践活動もたくさん出ています。時代の流れを的確に読んで、SDGsを経営の柱に取り入れているゴルフ関連企業が増えています。 これからの課題を早く理解し、新たなブルーオーシャンを見つけることは経営の要諦でしょう。排出権取引も市場ができはじめています。温暖化が進めば進むほど、新しいマーケットが出現するはずです。 環境だけでなく、途上国支援やジェンダー教育などの分野でもAIを活用した新たな展開が見られるでしょう。 ゴルフをめぐる様々な事業も同じです。この流れを見据えて舵を切るべきだと思います。現在、直面している課題に全力を注ぐのは当然ですが、人類が抱えている課題を改善することを企業のミッションの一つに加えることも重要です。 インドアゴルフは新しい波です。さらに、暑さ対策はどうか。若者をどうやってゴルフに誘うか。課題は多いですが、例えば温暖化対策を考え、20年後、30年後の世界を見据えたゴルフ振興策は必ず若者が関心を示すでしょう。 アメリカ大リーグでは顕著な社会貢献を行った選手に送るロベルト・クレメンテ賞があります。日本のゴルフ界にもSDGs賞のようなものがあればいいですね。 平和と公正をすべての人に SDGs16のターゲットは1)あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる2)子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する3)国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する4)国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する⑤持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する・・・などが主張されている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年04月18日
    海に沈む国 南太平洋に浮かぶ数々の島嶼国は今、温暖化による海面上昇に苦しんでいます。島が沈む危機が現実のものになっているのです。これらの国ではオーストラリアやニュージーランドに移住する人が増えています。国を追われる人の悲しい顔がテレビで映しだされます。 しかし、ちょっと考えてみると、これら島嶼国には海面上昇の責任がないことが分かります。ながい間、石油を大量消費し、二酸化炭素など温暖化物質を空に吐き出してきたのは主に先進諸国です。途上国はつい最近まで温暖化物質をたくさん排出してきていません。中国やインド、ブラジルといった「途上国を脱している国々」は、かなりの排出量がありますが、太平洋の島々のように多くの途上国は温暖化物質の排出量が少ないにも関わらず、温暖化の被害をまともに食らっているのです。 これってなんかおかしいですね。どうしてこんなことが起こるのか。それを理解するには、世界の環境破壊の歴史、地球規模の環境問題と温暖化の歴史などを少したどる必要があります。 ストックホルムの環境会議 26回COPで、SNSを通して海面上昇の危機を訴えるツバルのコフェ外務相<br />(Facebook より) 1972年、スエーデンのストックホルムで国連人間環境会議が開かれました。この会議は世界各国で頻発する様々な公害に対する初めての大きな国際会議でした。会議では「かけがえのない地球(Only One Earth)」がテーマとなり、26項目の「人間環境宣言」が発表されました。 このストックホルム会議がその後の環境問題についての大きな国際会議の始まりでした。しかしこの時、先進国と途上国との間に深刻な亀裂がありました。途上国は「我々は公害が欲しい」と叫んだのです。 その意味は「先進諸国は産業革命以来様々な公害物質を世界にまき散らし、自然資源を使い放題使って現在の発展を成し遂げた。我々はこれから発展しようとしているのだ。先進国がしたように我々も煙を出し、樹木を伐って発展したいのだ」ということでした。 確かに、日本でも戦後は黒煙が町を襲い、焼け跡に家や工場を次々と建設するために山林を伐りまくりました。学校の校歌に「煙もくもく発展の証し」などと歌われていたのです。 途上国の言い分もわかります。しかし、その言い分をも巻き込んで地球全体が壊れ始めているのも事実です。先進諸国は悩みました。 そしてケニヤのナイロビに国連の機関としてUNEP(国連環境計画)を設置し、世界の環境課題を解決する努力を継続することになり、途上国との対話を続けることになったのです。 途上国も公害に悩む それから10年後、ナイロビで国連環境計画(UNEP)の管理理事会が開かれました。この会議では日本が大きな役割を果たし、GEWの2024年6月号に書いたように、日本の提案で「環境と開発に関する世界委員会」の設立を決めました。この委員会は後に持続可能な発展という概念を打ち出しています。持続可能な(sustainable)という言葉は以後、環境問題解決のためのキーワードとなります。 一方、この会議ではもう一つ重要な変化がありました。途上国も環境問題の重要性に理解を示し始めたことです。それはストックホルム以来の10年間で途上国でも公害が頻発するようになっていたためでした。 ナイロビ会議では「環境問題は浪費的な消費形態のほか貧困によっても増大する」として先進国と途上国との共通の土俵ができ始めました。 リオ・サミット 国連会議に出席した筆者(右)左はストロング事務局長、2番目はテッド・ターナー氏。 そのまた10年後、1992年6月「環境と開発に関する国際連合会議」がブラジルのリオデジャネイロで開かれました。世界172か国が参加し、首脳が100人以上出席。企業やNGOなど4万人以上が集まり、史上最大の国際会議と言われました。 この会議で温暖化防止の国際協力が一歩を踏み出しました。気候変動枠組条約が提案され、その場で締約国の署名が始まりました。これを受けて、1995年にドイツのボンで第一回締約国会議(COP1)が、次いで97年に日本の京都で開催されました。以来、会議は連綿として続き、今年は11月にアゼルバイジャンのバクーで第29回締約国会議が開かれます。 しかし、先進国の責任論と途上国への資金支援問題というお金の問題がネックとなってなかなか進みません。科学技術による努力、環境経営の普及、法律の整備など徐々には進展していますが、歩みは遅い。 その間にも世界各地で温暖化による被害が増え続けています。先進国も途上国も共に被害が出ている。もはやけんかをしている場合ではないはずです。 会議を引っ張るリーダーが欲しいですね。人類すべてに関係しているのだからみんなが協力すべきです。でも自己主張が出る。今こそ人間の知性が試されています。 島嶼国が海に沈んでからでは遅いのです。 気候変動に具体的な対策を SDGsの13項目です。その具体策として 1)全ての国の気候関連災害や自然災害に対する強靱性や適応能力を強化する 2)温暖化防止対策を国の政策、戦略に盛り込む 3)気候変動の緩和、適応などについて教育や啓発を強化する 4)開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1000億ドルを共同で動員するコミットメントを実施するとともに、速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる 5)後発開発途上国及び小島嶼開発途上国に対して、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を高めるメカニズムを推進する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年02月20日
    函館 先月号でお医者様のコンペに募金箱を、という趣旨の文章を書きました。それを北海道の二つの病院の理事長に連絡しましたところ、お二人とも快諾してくれまして、9月に行われた病院のコンペで募金箱を置いてくれました。 先月号の原稿を書き終わって、函館の医療法人・雄心会(伊藤丈雄理事長)の金子達也本部長に「チャリティ募金箱」を設置していただけないか、と問い合わせたところぜひにという回答をいただきました。 8月31日夕、函館の大沼プリンスホテルに出向きましたところ、レセプションのすぐ横にコンペの受付があり、何とそこには「障害者ゴルフの普及に向けて」と銘打ったSDGsの募金箱がありました。約束通り金子本部長が用意してくれたのです。お手製の心のこもった募金箱です。 金子本部長は「今回の募金は障害者ゴルフの普及を目指す運動に寄付したい」と説明してくれました。夜には食事を兼ねてのコンペ前夜祭が開かれ、その席で金子本部長は2025年7月に函館で第7回日本スティニュレーションセラピー学会学術大会を開き、その後、日本障害者ゴルフ協会の大会を開催する予定で、今回の寄付金をその運営資金に贈呈したい、と説明をされ、続いて私が募金箱設置の趣旨をお話させていただき「千円程度の募金を」と呼びかけましたところ参加者の皆様から強い拍手が起こりました。 夏の大沼ゴルフコース。駒ケ岳が生える。 翌日は「北海道カントリークラブ大沼コース」でコンペです。快晴に恵まれ楽しいゴルフができました。募金箱には想像以上の寄付金が入っていたそうです。 釧路 大沼ゴルフコースのティーインググラウンドにある木彫りの熊。 それから2週間後の9月16日、釧路の社会医療法人・孝仁会(斎藤孝次理事長)のコンペです。前夜祭の会場には函館に置かれていた募金箱が移動していました。雄心会の金子本部長が来年の学会と障害者ゴルフ大会について協力を求め、私が募金の趣旨をお話いたしました。函館同様参加した皆さまから暖かい拍手をいただきました。 16日の阿寒カントリ―クラブはまたまた快晴になり、グリーンの難しいアンジュレーションに苦労しながらも、「誰でもゴルフが楽しめるように図るべきだね」とプレーの手を休め、障害者以外の課題についても話し合うなどSDGsの趣旨について理解を高めていただきました。 日本障害者ゴルフ協会 第1回日本障害者オープンのポスター。DAG提供。 様々な障害を抱える方々にゴルフを楽しんでもらおうと1991年、東京に「日本障害者ゴルフ協会(DGA)」が設立されました。その後、特定非営利法人となり、現在にいたっています。代表理事の松田治子さんは「今は三つの目標があります。①ゴルフをパラリンピックに、②次は誰もが楽しめるゴルフを③DGA を末長く続く組織に、です」とホームページに書いておられます。 DGAは「誰もがゴルフを楽しめる環境づくり」をモットーに、障害のレベルに応じた大会開催や国際交流や研修会など様々な活動を展開しています。競技活動では、1996年11月に「第1回日本障害者オープンゴルフ選手権」を栃木県のウイングフィールドゴルフ倶楽部(現パインズ日光ゴルフ倶楽部)で開催して以来連綿として続き、今年は11月に福岡県の麻生飯塚ゴルフ倶楽部で第29回大会を開きます。 この大会も始めのうちは参加者が少なく運営にも苦労しましたが、最近は人気が出て、今年の大会では参加者70人を募集したところ募集開始2日で定員を超える盛況となっています。 国際大会からパラリンピックへ 昨年、千葉県で行われた第28回日本障害者オープンのポスター。DAG提供。 DGAは発足当初から国際的な活動を視野に入れていました。 1997年に代表理事に就任した佐藤成定氏は世界の障害者ゴルフ団体との国際交流を進め、2000年にはアメリカの「切断者ゴルフ協会」NAGA (National Amputee Golf Association)のチャンピオンシップに選手3人と役員2人を派遣しています。 その年の日本障害者オープンゴルフ選手権にはアメリカから2人、オーストラリアから1人の障害者ゴルファーを招き、国際交流大会となりました。また、2005年からは日本障害者オープンゴルフ選手権に「グランプリの部」を創設し、世界の有数の選手が参加するようになり、2021年からは世界ランキング対象試合となっています。 プロ選手の支援 いよいよパラリンピックへの機運が高まってきています。加えて、今年から堀川未来夢プロがDGAアンバサダーに就任されました。有名なプロ選手が後押しをしてくれるようになれば、DGAへの期待は一気に高まっていくでしょう。 函館から始まった募金箱は釧路を経て次にどこに飛ぶか楽しみです。募金額はいくらでもよいのです。世直しプランともいうべきSDGsに力を貸すことで、スコアが伸びないときでも気持ちが軽くなると思います。 不平等をなくす SDGsの 10番目は「国内および国家間の格差を是正する」趣旨ですが、具体的な目標が10 項目あります。今回はその中から4項目を挙げておきます。 1)2030年までに年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。 2)差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。 3)税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。 4)地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2025年01月16日
    知られざる名コース 7月末、所用があり青森に行くことになりました。青森山田学園を5月に退任した後、初めての青森訪問でした。仕事が終わってから、懐かしい夏泊ゴルフリンクスを訪ねました。時間がなくプレーはできなかったのですが、陸奥湾を背にして広がる緑豊かなコースと深いラフは健在でした。 この夏泊ゴルフリンクスゴルフ場は知る人ぞ知る名コースで、週刊ダイヤモンド24年5月18日号の「ゴルフ場ランキング2024・隠れた名コース」部門で、全国第1位に選ばれています。 支配人の最上悟さんが面白い話をしてくれました。1995年の日本プロゴルフ選手権大会がここ夏泊で開催されたとき、あのジャンボ尾崎選手があまりの強風で試合を諦めて帰ってしまったということです。それほど風が強いコースなのです。 そしてもう一つ名物があります。深いラフです。フェアウエイから外れると、そこはもう高さ1mほどのラフが広がっているので一度入ったらほぼ諦めです。だからボールの用意が半端じゃない。私はいつも1ダース用意します。 階段の壁に最上さんとノーベル賞受賞者の本庶佑先生が一緒に移っている写真が飾ってありました。本庶先生は昔、弘前大学に勤めていたことがあり、夏泊ゴルフリンクスによく来ていたそうです。 本庶先生はノーベル賞受賞が決まった時の記者会見で、これから何をしたいですか、と聞かれ「夢はエージシュートです」と答えたほどのゴルフ好きです。今でもこのリンクスに来られるということでした。 日本経済新聞の「私の履歴書」によりますと、先生は2021年7月にスコア80で、見事エージシュートを達成されています。そして「ノーベル賞は天から降ってくるが、エージシュートは自ら手繰り寄せるものだ」と書いています。 医療支援 本庶先生はがん治療薬・オプジーボの発見者として知られています。 この薬により世界中のがん患者の多くが救われました。 地球上にはさまざまな病気がはびこっており、治癒できる病気は少なく、多くは治療すら未解決のままです。人類を取り囲む病気はまだまだ多いのです。 特に発展途上国では治療薬や治療施設が足りず、先進諸国なら簡単に治せる病気でも途上国では致命傷になることが多いのです。 本庶先生のような方がたくさん増え、新しい薬や治療法が確立されれば、地球上の多くの人たちが救われます。また、今ある薬を途上国に寄贈し、治療できる人々をたくさん送るなどの措置が必要です。 先進国の一人ひとりが、ちょっとだけ寄付するだけでどれだけたくさんの人が救えるか。ゴルフ場にユニセフなどの募金箱を置いてほしい。ロータリークラブやライオンズクラブなどの団体がゴルフ場に途上国の医療支援の募金箱を設置したらどうでしょうか。 一つのゴルフ場で全ての募金をするのではなく、その地域やゴルフ場の性格に合うような部分を支援することを考えたら良いと思います。 大きな企業がSDGsについて何か実践するときにはその企業の性格に合わせた部分を支援します。例えばスーパーなら廃棄物問題に、お酒のメーカーは水問題に、というように自分の会社に関連する課題に支援を贈るのが普通です。そのようにゴルフ業界も自社に合ったSDGs支援を送っていただきたい。途上国の子ども支援、医療支援、教育支援など何でもいいので一つでも気にかけてくれると世の中が動いてくるようになるのではないでしょうか。 私が見ている限り、SDGsに真剣に取り組んでいるスポーツ団体は案外少ないのです。有名スポーツ選手の中でもSDGs関連に気を配っている選手もまだ少ない。 これに対し、ゴルフ業界はかなり取り組んでいると思います。紳士淑女のスポーツであるならば世界全体の課題を気にするのは当然です。ゴルフ業界に胎動しつつあるSDGs関連の動きを加速させ、あらゆるスポーツの先頭を走っていただきたいのです。 途上国に思いやりを 私の友人でゴルフ好きのお医者様がたくさんいます。全国の医療機関では毎年ゴルフコンペを行っているところが多いと思いますが、そのコンペの際、途上国の医療支援の寄付を集められないでしょうか。参加費の10%を寄付するなど方法は問いませんが、何か世界の医療不足を手伝うようなムーブメンントが起こらないだろうかと思います。 医療団体などで途上国支援をしていることも多いと思いますが、それとは別に個人で、SDGsの、特に医療部門への支援を掲げていただけないものか。この夏から秋にかけて、私の友人たちのコンペでそう提案するつもりです。 ゴルフができる境遇は世界の中では富裕層です。多くの人々は治らない病に苦しんでいます。食べ物もない生活を強いられています。ゴルフができることに感謝して、ほんの少しでも途上国の現状を気にかけてみるようにしたら、世の中が少し変わると思います。 SDGsの3番目の項目は健康と福祉で 1)2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を10万人当たり70人未満に削減する2)全ての国で新生児死亡率を少なくとも出生1000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を出生1000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児および5歳未満時の予防可能な死亡を根絶する 3)2030年までに、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する、など13項目を掲げている。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年12月11日
    ゴルフ界のジェンダー これまでSDGsの話をいろいろ書いてきましたが多くは環境問題の話題でした。しかし、実はSDGsの半分以上は環境問題以外の世界平和や経済格差、教育、人権、ジェンダーなど世界の人々が平等に、豊かに生きていくことを訴えています。 世界では、多くの人々はその日の食事に困っています。女性差別が依然として残っている。戦争が多発しているなどの課題もあります。もう一度、図を見ながらSDGsの基本について考えてみましょう。 こう書き始めたところに古江彩佳選手がエビアン選手権で優勝したというニュースが入ってきました。メジャー優勝は史上5人目で、松山選手を除くと残る4人はみんな女子選手です。6月には笹生優花選手が全米女子オープンで2度目の優勝を飾っています。凄いと思いませんか。 SDGsの思いの中で重要な課題の一つにジェンダーありますが、今回は古江選手の活躍もあり、ゴルフ界のジェンダーについて、2022年11月号に続いて再度考えてみたいと思います。 古江選手は身長153cmでやや小さめの体格です。日本人のほとんどの男性は古江選手より大きいと思いますが、どうして古江選手のように飛ばないのか、また、うまくなれないのか、不思議な気がします。 小柄ながら大記録達成の古江選手(ブリヂストンスポーツ<br />契約発表)。 もちろん古江選手をはじめ女子プロの方々は小さい時から血のにじむような練習を続けてきたからよく飛ぶし、技術も素晴らしいのだと頭では理解しているつもりですが、アマチュアのおじさんたちはなかなか飛距離が伸びない、上達しない、という悩みを抱えているので彼我の差を簡単に受け入れることが難しいのかもしれません。 日本の女子プロは強い、そして世界に通用する選手が続々と出てきています。人気も男子よりずっと高いのです。でも、女性のゴルファーは少ない。どうしてでしょうか。 紳士のスポーツ ゴルフ場で女性が冷遇されているといったことを22年11月号で書きましたが、まだまだ改善のスピードが遅いようです。中年のおじさんが幅を利かせているゴルフ愛好家の中では女性の待遇改善について話題になりにくいのかもしれません。 ひとつにはゴルフは「紳士」のスポーツだ、という精神を取り違えている男性が多いようです。「紳士」のスポーツを「男」のスポーツと間違えているのではないか。プレー中にたばこを吸ったり賭けゴルフをしてみたり、プレーファーストができない自分勝手なしぐさなど紳士にあるまじきゴルフをしている方々は紳士ではなくただの男です。 こうした状況に対し、女性を受け入れる時に「紳士・淑女」のスポーツと考えればいいのです。今はまだ古い時代の男尊女卑的な考えの中で紳士の雰囲気だけを盾に「ただの男たち」が女性の参加を阻んでいるとすら思えます。 世界では女性の総理大臣、社長もたくさん出ています。昔は体力のない女性は家にいて家事をこなすのが主流でしたが、今は21世紀、コンピューターの時代です。ほとんどの職業に男女差はありません。スポーツの世界でも、記録的には男女差はありますが、選手の扱いに差はありません。 イギリス発祥のスポーツの多くはフェアープレイを基本に置いています。ラグビーの基本は前に投げてはいけないことです。ゴルフでは成績が自己申告です。卑怯なことはしない、正々堂々と戦うことが基本。それ故、世界に広まっていったのではないかと感じています。その精神には男も女もありません。そういった基本を忘れて、形だけ真似をしている「紳士」がゴルフ界に少なからず存在するのが問題です。 もっと女性を ビジネスから見ても女性ゴルファーは未開拓の分野です。ゴルフ場でもメーカーでもお客を増やすチャンスなはずです。このブルーオーシャンになぜ真剣に取り組まないのか不思議です。 7月号でも「船中八策」で倉本昌弘氏が、ゴルフの普及活動に対してJGAなどにもっと力を入れるべき、と提唱していましたが、同感です。ここはゴルフ界を挙げて突き進まないと、ゴルフという遊びは忘れられていく恐れがあります。ゴルフ界の方々が他のスポーツや企業、社会の様々な分野に目を向ければ、ゴルフ界の女性進出が遅れていることに気がつくはずです。 日本は世界でも女性の社会進出が遅れていると言われていますが、少しずつ変わってきています。ゴルフへの女性参加が少ないことを社会のせいにしないで、むしろゴルフ業界が率先して女性参加の先進事例を創造していったら、どうでしょう。 例えば、ある条件を満たせばプレー費用を半額にするとか、貸しクラブを増やし、電車でもゴルフ場に行かれるようにする。女子プロ選手のテレビでの露出を奨励し、社会活動に積極的に送り出す仕組みを作るなど、画期的な変化を起こすような作戦を業界あげて作ったらどうでしょうか。 「貧困をなくそう」 SDGsの第1章は「世界中の貧困をなくす」です。ジェンダーそのものに対してはまた別な項目がありますが、この貧困の項目でも女性の地位向上は重要な位置を占めています。 五つのターゲットでは、2030年までに、極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。貧困状態にある人々の割合を半減させる。各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、貧困層に対し十分な保護を達成する。国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。 <hr /> この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
    (公開)2024年11月11日